管理人宅に於けるバンダイバービーの仮面ライダー的増殖史・
   +あまり役に立たない超簡単補修レポート


※このページには人形(一部に分解・修復中を含む)写真があります。苦手な方は御注意下さい。

 かれこれ6年程、お人形道楽に耽溺している。
今更だがこの道に足を踏み入れた当時は、お人形を2人買い「この彼女らを大事に愛でよう」というつもりだったのだ。しかし。

♪2人のつもりが3人の人形、4人、5人、10人、20人!
 オーオーオーオーヤッ!忍法影分身〜♪
…などと思わず「サスケ」熱唱で誤魔化したくなる程増殖していくのに、時間はかからなかった。
この道楽の行先の一つに「気に入ったお人形はとことん手に入れたくなる」という底なし沼がある。
 家に居るお人形で満足しておけば良いものを。我慢のきかない大人はこれだから。
 しかも女の子の遊び相手として「お人形」がこの世に誕生して幾世紀。
量産可能な「ファッションドール」が誕生して半世紀余。
一体どれだけの「お人形」が世に送りだされたか、と考えるだけで気の遠くなる話ではないか。
「気になるお人形」を集めているだけでもきりがない。ああそれなのに。

 2005年10月。
YAHOO!オークションで競り負けた腹いせに、近所の公園で開催されていたフリーマーケットに出かけたのが私と彼女(達)の最初の出会いだった。
彼女の名は「バンダイバービー」。


《本筋とはあまり関係ない簡単な説明コーナー・興味のない方はとばしてね》
バービー」と聞けばアメリカからやってきたナイスバディな美人さん群を思い浮かべられる方が多いと思われるのだが、日本の玩具界に於いては1980年代にこの「バービー」の名前を巡ってちょっとした事件が起こっている。
 1959年の誕生以来本家アメリカを中心に20年以上魅力的な展開を続けていたものの、日本に於いては無敵の小学5年生・リカちゃんの牙城を崩せず苦戦していた「バービー」のマテル社と、遊びは文化・(株)タカラが「バービー」の名前をライセンス契約して「和製バービー」を売り出したのが1982年。
「バービー」と名付けられてはいたが、このお人形(「タカラバービー」)は日本人好みの可愛い顔をしたお人形で、所謂アメリカの「バービー」とは全くの別人である。 その後(いろいろあったらしいが詳しい話は知らない)、1986年にマテル社とのライセンス契約が切れたタカラ社は自社の「タカラバービー」を「ジェニー」と改名、そのまま販売を続けて今日に至っている。
 一方タカラ社と「バービー」のライセンス契約を解消したマテル社は、同年新たに(株)バンダイと契約する。
「マテル」と「バンダイ」の合弁会社・「マーバ・コーポレーション」(分りやすい命名だ)から1986年に発売された新たな「和製バービー」(「マーババービー」)だったが、この顔が「タカラバービー」(つまりタカラから継続販売されていた「ジェニー」。ややこしいな)と似ていた事から問題となり、翌1987年にはモデルチェンジを余儀なくされる。 モデルチェンジと言っても目のデザインを変えただけなのだが、このモデルチェンジ以前を「前期マーババービー」、以後を「後期マーババービー」と区別したりする。
 そして「マーバ・コーポレーション」解散後、(株)バンダイから「もう似てるとか言わせないもんね」とばかりに更に顔立ちをはっきり変えた新々「和製バービー」がお目見えしたのが1989年。これを「バンダイバービー」と呼称する。
 (なお1991年にこのライセンス契約が切れ、「バンダイバービー」も僅か3年で市場から姿を消した。以来マテル社の本家「バービー」達が日本再々上陸したりその後(株)バンダイが業務提携したりするようになるのだが、それはまた別の話である)
《大雑把な説明コーナー・終わり》

骨董屋さんが一纏めにした「玩具」コンテナの中から発掘された、こちらが「バンダイバービー」。
別のお人形と2体まとめて購入して、しめて300円也。
服を着ていなかったので、同じフリマで入手した1990年代のジェニー服を着せてみた。
前の持ち主(多分お子さん)に無惨に髪を切られているにもかかわらず、その美人度が損なわれていないのが素晴らしい。

しかし手にしてみると、やはりこの髪が気にかかる。

後頭部ならともかく、前髪が地肌見える程ごっそり根元から切られているのは如何ともしがたい。 首さえ抜ければ今の髪を全部カットした上で、新しくドールヘアを植毛する事ができるのだが。 しかし「バービー」と名のつくお人形に関しては、数年前に本家アメリカバービーのボディを交換しようとして思いきり首のジョイントをねじ切ってしまった(その時は交換用のボディのジョイントが使えたので事なきを得たが、今も彼女を振ると頭の中でジョイントの残骸がカラカラ音をたてる)暗い過去持ちなので、つい及び腰になる。

ドールヘアは購入したものの、どうしようかな、と逡巡していたそんなある日。



別のフリーマーケットの骨董屋さんで、再びバンダイバービーと遭遇したのである。
しかも今度はハゲてない、むしろ髪の毛ふさふさな人だったので喜んで購入。100円。
 ところでこのバンダイバービー達の髪は、大変細く量が多い。確かに子供さんが遊ぶには手に余り、思わずじょきじょき切りたくもなったろうと思われる程、たっぷりと植毛されている。
その見事なふさふさぶりに、帰る道々口をついた歌は「♪ゆけ、ゆけゆけメガロマン〜♪」だった。
 歌はいいねえ。
 興がのったついでに帰宅後洗面器にお湯を張り、今度は「♪カッチンカチャリコ ズンバラリン♪」などと歌いながら気になる汚れを洗っていたのだが、しかしもしかしたらこの歌はいけなかったのかもしれない。

 ぽきん。
「…金太郎」

などとつげ義春ごっこをしている場合ではなく。
いや。いきなり首もげたんですたけど。獅子吼〜。
どうして? と洗剤の泡の中から拾い上げてみたところ、ボディの前頚部が欠けていて、ちょっと首を動かすと簡単に抜けてしまう事が判明。
おろおろしつつも、弾みで頭部に入ってしまったジョイントをピンセットでどうにか引き抜いて、並べてみたのが左の写真。

あー。だから抜けにくくなるように無理に首がねじ込んであったのか。道理で妙に首が短いと思った、と苦笑しつつ頚部構造を確認。思ったよりシンプルな作りである。
ジョイント(中央の白い部品)の頭部に嵌める側が、釣り針のように「かえり」のある構造だと頭を抜くのが難しいのだが、これなら割に簡単だ。 おお、これでバンダイバービーの頚部構造が解ったから、最初の人の頭を抜くコツも何となく掴めたではないか。何てラッキー。 前向きな自分ハレルヤ。


そして欠けた頚部を眺めている内に「この程度なら自力で直せるかもしれない」と思いたち、前向きついでにボディの補修に挑戦してみた。
実践・模型ひとつ完成させた事のない不器用者でもできる超簡単補修。

使用したのは家に転がっていたタミヤのエポキシパテ。 封をきってかれこれ2、3年経っているので変質が懸念されたが、どうやら大丈夫だった。
 主剤(白)と硬化剤(青)を同量取ってこね合わせていると柔らかくなるので、粘土細工のように形を作ったら接着したい箇所にくっつけるだけでOK。
ほぼ24時間で完全に硬化する。
ボディもジョイントもプラスチックなので、結構固い。
先に固めてしまうとかえって嵌め込みにくくなりそうだ、と判断し、ジョイントをセットしてからパテ盛り。
この際に注意が必要なのは、ボディに盛ったパテがジョイント部分にくっつかないようにする事である。(理由は書くと長くなるので、ここでは略)
2、3時間は通りすがりにジョイントを左右に動かして癒着を防ぎつつ、パテの硬化を待つ。

パテが固まったらサンドペーパー等で表面の凹凸をとるが、見えない部分なのでそこそこ適当でも無問題。後は元通り頭を嵌めれば完成。
のべ所要時間(パテの硬化時間は含めない)約15分の超簡単作業である。
 もし首の壊れたバンダイバービーを入手された際(あるのか?)は、こんな大雑把なやり方でも何とか直るので、是非。


さて。
再植毛はしていないが最初に入手した人と、めでたく首の直った人を並べてみた。
面白い事に、微妙に顔が違う。目や眉の僅かな色違いや髪型で印象が変わってみえる事もあるだろうし、私のへたれ写真でどの程度ニュアンスが伝わるものかは解らないが。 でも最初に入手した人が雰囲気のある思慮深げな美人とするなら、首の直った人は気の良さそうな明るい美人に見えるのだ。

ちょっと意図的に写真を撮ってみた。
(ちなみに左の写真をクリックするともう少し大きな写真が別窓で開くので、宜しければご覧いただきたい)

…これは。この趣きは。
「そうか技の1号、力の2号か!」

「仮面ライダー」好きとして、ごく当たり前の連想と言えよう。
となればおのずと名前も決まってこようというものである。


命名:「バンダイバービー1号」「バンダイバービー2号」
ひねりを求めてはいけない。

そんな顛末でダブルライダーバービーを得て、しばらくは満足して暮らしていたある日。
YAHOO!オークションで、またもや1人の「バンダイバービー」が目にとまった。格安300円。
 眺めていたが、誰も入札しないままオークション終了。そのまま自動再出品されたのを見て、ついふらふらと入札してしまった。 写真で見る限り1号さん系の顔立ち・しかも髪も切られた形跡がなかったのと、何と言ってもポイントが高かったのは。
 商品説明写真の彼女は、黒いレースのドレスを着ていたのだ。
 考えてみれば、うちのダブルバンダイバービーは2人とも身一つで来ている。 ジェニー服やマテル社のバービー服が着られるとは言え、ここでもし本来の「彼女達」のドレスが1着でも手に入れば、これは本人形達にとっても喜ばしい事ではないか。
そんな思惑の元に入札したオークションは競争相手もないまま数日後に終了・ここに3人目のバンダイバービーが到着する事になったのである。

 髪はふわふわ柔らかウェーブを描き、ボディも無傷な彼女は、当家で最も完品に近い「バンダイバービー」と言えよう。 若干の経年変化はあるものの、見事な美人である。
そして不思議と先輩達より年下に見えるのは、私の目が曇っているばかりではないと思いたい。
 しかし現物を手にした私の頭をよぎった大いなる疑念は。
「どうしてこのドレスはこんなにぱっつんぱっつんなんだろう…?」

タイトな服の場合、必ずしもジャストフィットする訳ではないのはままある事なのだが、しかしこれは幾ら何でもきつ過ぎやしないか。
ドレスに横皺が寄ってるぞ。
お人形だから良いようなものだが、人間だったら絶対「太った?」と聞かれるぞ。せっかくこんな可愛らしい美人なのに。
そんな思考がぐるぐる回る回る中、天啓の如く響く声あり。

「もしや貴女はV3!?」

「あー。V3なら仕方ないか(笑)」と思った私はファンの風上にも置けまい。


もうお察しの事と思うが、この瞬間彼女は「バンダイバービーV3」と命名された。

一応彼女の名誉の為に書いておくと、実はこのドレスが「バンダイバービー」のものではなかった、というオチがついている。 見ると「Yves Saint LAURANT」と「タカラ」の2枚のタグがついており、どうやら1987年にタカラから発売された「イヴ・サンローランジェニー」のドレスらしい。 「バンダイバービー」は本家マテル社の「バービー」の流れをくむナイスバディなので、「ジェニー」のボディコンシャスな服を着るとバストとヒップがきつく逆にウエストは余る、という現象が起きる。
 …そこで何か言いたげな貴方様に贈る言葉は「言わぬが花」。


そんな訳でトリプルライダーが揃ったのだった。
流石にこれ以上は増えないだろうと思いたい。
まあ妙に生真面目そうで白衣の似合う「バンダイバービー」が出てきたら、それはその時というものだが。
                                    (2005.12.25)



(追記) 「もし首の壊れたバンダイバービーを入手された際(あるのか?)は、こんな大雑把なやり方でも何とか直るので、是非」と書いたのだが、結局この覚え書きは後日自分の役に立つ事になった。
2006年春にネットオークションで「色々なお人形15体セット」を落札したところ、中に3人も「マーババービー」が入っていて、しかもその内の2人がこの「前頚部欠け」状態だったのだ。 「首が抜け易くなっているのです」と心配されていた前オーナーさんに「これなら大丈夫直せます!」と偉そうに自信満々なメールを送ったのは言うまでもない。その後修復済。

そして「流石にこれ以上は増えないだろうと思いたい」と書いた「バンダイバービー」だが、この間もう1人増えて4人になった。 何故かと言うと、こちらの前オーナーさんはバンダイバービー特有の豊かな髪を、ゆるく三つ編みにしてアップに結い上げた写真を撮られていたのである。 「うわ。何この白衣似合いそうなバンダイバービー」とあっさり陥落したのも言うまでもなかった。
でももうこれ以上は増えないだろうと思いたい。思いたいったら思いたい(泣笑)   (2006.10.28)



えー。
そんな決意がまさか半年しか保たないなどとは、自分事ながら遠い目にもなろうというものである。
しかし「一応開封済みだけど小物類は未開封で新品同様のバンダイバービー」それぞれ違うバージョンの3箱が、秋葉原のとあるお店で並んで私を待っていたのだ。 しかも目を疑う程の格安。その上、余程長く売れ残っていたのか更に半額ドン。
これは買うしかないだろう。
何も2箱も買う事はなかったのかもしれないが。強欲で申訳ない。
という訳で青ドレス着用のストレート髪の娘さんが5号、顔色のいいふわふわウェーブ髪の娘さんが6号になった。
とりあえず次は、薔薇柄のドレスでも着た人が現れたら考えてみようと思っている。(もはや冗談にもならない) (2007.6.4)