香港は良いところである。
まず御飯が美味しい。朝昼晩とお粥だって正直飽きない位だがやはり麺を食べない訳にはいかないし、火鍋だって伊勢海老だって食べたい。
飲み物をメニューの漢字の並びから推測して指差すと時々面白いものが出てきたりもするが、それもまた一興。妹に推奨されている屋台のドリンクは一度トライしてちょっと「甘?」だったが、
別のメニューで是非再挑戦したいものである。亀ゼリーはシロップかけずにそのままで。
そして香港と言えば意欲とパワー溢れる映画が次々と発表され、また近年はトイ分野に於いても新しいスタイルの発信地となっている。日本にもそのファンが多いのは皆様御存じの通りである。
映画「風雲 〜ストームライダース〜」の原作等漫画は残念ながら日本ではなかなか入手できないが、活気溢れる香港の街中に出れば中野ブロードウェイの如き漫画専門店や玩具店のひしめきあうビルが点在している。(但し移り変わりも相当に激しい模様)
さてそんな中に、日本の漫画やアニメやその他文化が流入しているのも今更書くまでもない。
グッズ類に関しては勿論輸入されてきた馴染み深い日本製品も多いが、その一方でどっこい香港オリジナルもあるので侮れない。
香港のセブンイレブンの「QOO(クー)」限定グッズなど、コレクターの方にはかなり有名らしい。とにかく日本の作品であっても「香港に行かなければ入手不可!」な品が存在する程、
しっかりと根付いているのである。
香港独自の漫画文化にとって、あるいはこの輸入の与える影響は憂うべき事かとも思われるのだが(この話は関係ないので省略するが)
とにかく日本の漫画やアニメは目立つ。
VCD(ビデオCD)店の店頭では「勇者王ガオガイガー」(しかもOVA)予告版映像が流れ、漫画専門書店の棚には日本の漫画の翻訳版が溢れている。
で、当然のようにあったのだ。「仮面ライダーSPIRITS」。
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表紙右上には「日本講談社正式授権香港中文版」と明記されており、ISBNコードもついている正規の翻訳版である。 タイトルは「■面超人SPIRITS」(最初の文字は「巾」に「蒙」なのだがうちのPCの日本語辞書にないので変換不可。こっそり表紙写真を貼っておくので、以下恐縮ながらこの字のつもりで読んでいただきたい。 ちなみにこの字の意味は「覆う」である由なのでつまり「■面」=日本語の「仮面」か)。 見えにくいがタイトルの下の一行は「原作:石ノ森章太郎 作畫:村枝賢一」。 お持ちの方にはお手元のコミックス1巻と見比べていただきたい。 |
使っている用紙のせいで「薄い?」と錯覚しかかるが、装丁(カラー口絵込み)・内容は原本とほぼ同じである。但し巻末のインタビューや放映リストは、1巻の前田満穂氏インタビュー以外は載っていない。
日本で2002年6月に出た3巻が「2002年7月」に発行されているので、ほとんど時間差なく出ていた事になる。お値段は33HK$。1HK$が16〜18円と考えるとほとんど原本と変わらない値段か。
不勉強で中国語は全く解らないのだが、有難い事に漢字なので何となく意味は解る。
滝さんは正字で「瀧」となっているが、他の人名表記は日本語と一緒。その他固有名詞は
仮面ライダー → ■面超人
(一号・二号・V3・X・スーパー1はそのまま「(■面超人)一號・二號・V3・X・SUPER1」
アマゾンは「亞瑪遜」、ストロンガーは「■面超人強者」、スカイは「飛天■面超人」
何故かライダーマンは「■面超人」のまま)
ゲルショッカー→ 撤旦幇(「幇」は略字表記。「巾」が「帛」なのだがこれまた日本語辞書にない)
デストロン → 毒蠍幇(同上)
というところ。
現在手元には3巻までがある。もう5巻までは確実に出ている筈なので、原本と揃えて是非全巻並べたい。
そして「『SPIRITS』があるならもしかして」と「勇者王ガオガイガー」の流れる店に入ってみたところ、「V3」VCDを発見した。
2002年4月に購入した時に1枚(2話収録)25HK$〜35HK$だったのでかなり安価と言えよう。
と言うか、その年の11月に行った時にはもうどこの店にもなかったので、もしかすると投げ売りされていたのかもしれない。
中国語字幕の他に広東語の吹き替えも入っているのだが、日本語との音声切替がうちの環境では出来ない為ごちゃごちゃになって聞こえるだけなのが残念。
吹き替えについてはヨロイ元帥の声の人がちょっと声高めかな、とは思うものの全体的にほとんど違和感はない。
しかしこれ、パッケージ裏の各話紹介が、なかなかシンプルかつ判り易い。
1話分御紹介するので、さらりと眺めて雰囲気を楽しんでいただきたい。ちなみにこれは第43話の紹介文。
「新上任的大幹部鎧甲元帥、為削除心腹大患、把叛變罪
名強加於毒蠍幇的天才科學家結城丈二身上、結城在行
死刑前一刹與多名助手逃脱、但結城一隻手臂已被○酸
所廢、結城決定把自己改造成怪金剛、誓要伐鎧甲元帥
服仇、途中遇上長頸龜怪正與V3展開惡鬥、怪金剛會否
與V3聯手對抗毒蠍幇?」
…たったこれだけだが1行目の「削」は本当は「産」に「りっとう」で「けずる」の意、
3行目の「○」になっているのは「酉」に「離」の左側で「汁」を意味するそうだが日本語辞書に(以下略)、
4行目の「伐」は本当は木偏なのだが、漢和辞典にもこの字がなかったので「多分こんな意味だろ…」と
勝手に置き換えている。まずは原文ママでない事を御容赦いただくとして、こんな感じである。
さてこの回、サブタイトルは
「神秘的怪金剛」。
文中から判断すると「謎のライダーマン」の訳になる。
つまり「ライダーマン」は「怪金剛」。
「SPIRITS」はともかく、どうもこの訳がポピュラーなのではないかと思われる。
(その後「香港限定・各500体・ライダー胸像」のライダーマンを東京で入手したのだが、箱にはしっかりと「■面超人怪金剛」と書いてあった)
そうか「怪金剛」か。
まあいいじゃないか「怪金剛」。何だか強そうだ。誰の事だか解らなくなる位。
などと思っていたところ、今度は「■面超人 五鬥士VS黒暗皇帝」つまり「Xライダー劇場版」を見つけた。
「どんな紹介文だろう?」と何気なくパッケージ裏を返した次の瞬間、私は店内で何とも言い難い半笑いを堪えるのに必死になっていた。
「(前略)…最後、五位■面超人:一號、二號、V3、玉面金剛與X共同聯手、
誓要粉碎黒暗皇帝的血腥陰謀。」(下線筆者)
僭越ながら適当に訳せば「そして5人ライダー:1号、2号、V3、ライダーマンとXは協力し、キングダークの血生臭い陰謀を打ち砕く事を誓う」というところなのだろうが。
「玉面金剛」って誰。
まあ晴れて正義の味方になったので「怪」もなかろうと思ったのかもしれないが、それにしてもつけるに事欠いて「玉面」とはこれ如何に。
それは果たして男性に対して普通に使う言葉なのか。
うちの辞書が狭義しか載せていないのか(※1)。それとも中国語では何か違う意味があるのか。
いやでも「西遊記」に「玉面公主」って出てきたしあれは確か牛魔王の愛人。
ついでに昔のドラマ「西遊記」で玉面公主登場回と言えば山口さんもゲストだったなあ猪八戒(西田敏行)の変身した「美青年」役で、などと雑多な思い出がもう一瞬でぐるんぐるん回る。
「ごめんなさいごめんなさいやっぱり『怪金剛』でいいです…」と誰に向かって謝っているのかも定かでないながら、このVCDもしっかり抱えて帰国した事は言うまでもなかった。
香港は本当に素晴らしいところである。
紹介しきれなかったがライダー関連でもパチもののようなそうでないような玩具も見つかるし、しつこいようだが「SPIRITS」の4巻以降も探しに行かなくてはならない。
オクトパス(香港の地下鉄やバスやセブンイレブンで使えるチャージ式カード。大変便利)も2004年11月で有効期限が切れてしまうのでなんとかその前に一度行かねば、と焦る昨今である。
(※1) 念の為に確認しようと手元の国語辞典を片っ端から引いてみたところ、どうも小さい辞典だとこの言葉自体が載ってないようなので、一応書いておこう。
「玉面(ぎょくめん):人の顔の美称。」(広辞苑)
ついでに角川の「漢和中辞典」では流石にもう少し詳しく「(1)美しい顔。(2)人の顔の敬称。」となっていたのだが、どう考えても敬われてつけられた名前とは到底思えないのでやはり字義としては(以下自主規制)
(追記)
その後、めでたく香港版「SPIRITS」4〜6巻を入手した。
確認したところ、ライダーマンが単独で登場する場面(4巻P127等)では上述の通り「■面超人」となっていたが、他のライダーと一緒の場面(6巻P165)ではやはり区別が必要な為か「怪金剛」と訳されている。
従って「『ライダーマン』は中国語で『怪金剛』」とほぼ断定して差し支えないかと思われる。
これにて一件落着♪(2004/9/23)