クレクレタコラ 1973.10.1〜1974.9.28

声の出演:太田 淑子、阪 脩、他


<今見るとしたら>                                

驚いた事に(失礼)、パイオニアLDCから4枚組の完全収録DVD-BOXが出ました。
数年前に東宝から出た傑作選LDも(巻末映像特典つき)まだ入手可能かもしれません。
レンタルビデオ屋さんによっては、多分ビデオ(確か3本くらいの傑作選)を置いているところもあると思われます。 またファミリー劇場でも過去2回程放映されたので、こちらで見た方も多いの ではないでしょうか。


<大まかなあらすじ>                               

クレクレタコラはフテクサレタコの突然変異である。彼が住む森は、子分のチョンボ、美人(彼らの審美眼に拠る)のモンロ、ビラゴン、デブラ等が住むこの世の異境である。
クレクレタコラは自分の欲望の為、見境なく「クレクレ」攻撃するのだ!(中江真司氏の声希望)


<偏った感想その他>                               

 タコラ欲しい物発見→奪取作戦を立てる→(失敗する→計画を立て直す→失敗する)または(してやったり→だが悪事長続きせず)→タコラ今日も目を回して転倒しておしまい。

 とにかく第1話から最終話まで、ほぼこれだけの話が260話も続くのである。
全話1話完結なので前後編もなし。感動も感慨も感情移入もなし。「見て感想を書きなさい」なんて課題が出たらかなり困る番組かもしれない。

 どこが良いのか「クレクレタコラ」。
 ひとつにはタコラちゃんが可愛い。黒塗りのうつろな目といい、ぽっかりと開いた(思わず指を突っ込みたくなる)口といい、実にキュートである。 キュートといえばチョンボの落花生みたいな体型も愛らしいし、唯一哺乳類らしきデブラのむくむくした感じもいい。 トロロやトリオ怪獣とか、全キャラクターを並べてみると何だか統一感がないような寄せ集め感も趣きがあって宜しい。
 そして忘れてはならないのがモンロ。全身ピンクで大きな目に長い睫、「ウッフーン、タコラちゃーん」と囁く声にクレクレ…もといクラクラ(すみません)。 ことに「ウッフーン」部分がなかなかコケティッシュなのだが、しかし良く見るとその甘い声を紡ぐ口元からはセイウチのような巨大な牙が生えている。
ヒロインが全キャラクター1立派な牙を生やしているというのは一体どういう事なのか。頭にはちょこんとリボンもつけてるのに…確かにこの世界で最強のキャラクターには違いないのだが。 もしかするとこれには「女は可愛くておそろしいものだ」という暗喩が込められているのだろうか。いないだろうな。
 そしてそんな個性的なキャラクター達のお芝居も、とてもテンポ良く出来ている。会話や感情をくだくだしく表現する代わりに画面一杯にぱんと挿入される「OK」「×」「GO」といった表示の大胆さ。 ナレーションにしても台詞にしても過剰にならず、あくまで軽妙にして語調が良い。
 私事で恐縮ながら、どこかの回でルーティンギャグとして使われていて忘れられなくなってしまった台詞がある。 人の荷物を持とうとすると、どこからともなく「持ってあげましょ親切」と阪脩氏の声が囁くのだ。 持ち逃げするつもりもないのに、一体どうしてくれるのか「クレクレタコラ」。
 どの回だったのかはとても探せないので、詳しく御紹介できなくてすみません。発見したらここに書いておきましょ親切。

 …まあそういう番組なので、まず見始めて5分程で「この限りある人生のひとときを費やして一体何を見ているのだろう…」という気持ちになります。 何かこう「無意味」という事について考えたり、「時間は有意義に使わなくてはならないのではないか」とそれこそ意味もなく自戒してみたり。
「何か手仕事でもしながら見るか…」と思いながらも、つい腰を上げずにそのまま見続けていると、ところがやがてえもいわれぬ脳内サイケ麻薬が満ちるが如きのんびりハイな心持ちになってきて、 ついには「ま、いいわ。人生長いんだし」と腰を据えて全話ビデオマラソンしたくなってくる気すら起こってきます。
10時間程かかりますが。
恐るべし「クレクレタコラ」。
 そんな「クレクレタコラ」未見でしたら是非一度。
 でもDVDを買われる前に、まずどこかで1本見て御自分に合うかどうかを判断される事はお勧めします。