「電人ザボーガー」各話紹介・第17話〜第23話


  
17 殺人キック!メカボーグチーム
       
ストーリー概略
Σ団のサイボーグ・ラガーズ兄弟は、悪之宮博士によって大門の抹殺を命じられ、メカボーグに改造される事になる。
自分達の連係プレイを完璧にする為にもう一人のメンバーを加えて欲しい、というラガーズ兄弟の希望を容れ、Σ団は俊足のフットボール選手・佐野一郎の誘拐を企てた。
 宝石強奪事件を調査する為、じょうなん大学を訪れていた大門は、その襲撃現場に遭遇しΣ団を撃退する。 しかしΣ団の存在自体を信じようとはしない佐野は、ガードを申し出る大門にも「警察でもないのに」と取り合おうとしない。
 そんな折、ついにメカボーグに改造されたラガーズ兄弟が佐野を襲った。 大門の力も及ばず、とうとう佐野はシグマ大魔城に誘拐され、メカボーグ・ラガーズ3に改造されてしまう。
 一方大門と警察も、ラガーズ兄弟の靴につけた発振器でシグマ大魔城の位置を追っていた。 それを察知して大魔城を隠し、海岸で警察を食い止めようとするΣ団だったが、大門達の攻勢に押され気味となる。
やむなく悪之宮博士は、手術の不完全なラガーズ3を含めたメカボーグチームを出撃させた。
 ラガーズ3が佐野である事に気づき、呼び掛ける大門。しかしチームの完成なったラガーズ1・2・3は、大門に容赦ない攻撃を加える。 孤軍奮闘する大門。 だがそんな最中、ラガーズ3は過ってラガーズ兄弟のフットボール爆弾の直撃を受け、自壊してしまう。ヘルメットが外れて自我の戻った佐野は、駆け寄った大門の名を呼んで息絶えた。
その残骸を越えてなおも攻撃してくるラガーズ兄弟だったが、ザボーガーによって倒される。
 ラガーズ3のヘルメットを抱き、シグマ大魔城の消えた海を無言で見つめる大門だった。
個人的な感想
EDテロップでラガーズ兄弟が「中本竜夫」「中本恒夫」となっているのだが、もしかすると本当の御兄弟なのだろうか。
ちなみに冒頭でこのラガーズ兄弟に襲われる宝石商が大月ウルフ氏。 この時まだラガーズ兄弟はメカボーグではなくサイボーグ(頭部は人間)だったので、一見「アメフト選手が強盗を働いた」ようにも見える。 どうやらそれで大門さんは名門アメフト部を擁する大学から捜査を始めて、偶然「じょうなん大学」を襲ったΣ団に遭遇した模様…と思われる。多分。
ところでこの襲撃場面で無言で棒を手に立ちはだかるΣ団員に、他のアメフト部員が「間違えるな、俺達はゲバ学生と違うぞ」と抗議するのだが、彼にはΣ団が機動隊にでも見えたのだろうか? 「ザボーガー」の放映は「あさま山荘事件」から2年後なので、海外の日本赤軍はともかく当時もう国内の学生運動は鎮静化していたと思うのだが…どうでもいいか。
 ときにラガーズ3の「不完全な改造」を表すのが「口元だけ生身の見えるマスク」なのに、「や、主役は大門さんだから」と思いつつちょっと別作品の誰かを連想したりして。 しかしうっかりそんな事を考えていると、フットボール爆弾で破損したラガーズ3の右腕がもげて中の機械がこぼれ出たりするので、えも言われずイヤな気分になったりもするのである。 ……も何も、余計な連想のバチが勝手に当たっているだけなのだが。すみません。
そしてそれがきっかけで佐野くんは僅かに自我を取り戻すのだが、「大門さん」と呼ぶのが精一杯で死際の一言すら残せない、そのあっけなく救いのない最期はいかにもピープロ作品らしい。 どうにもやるせない印象ばかりの残る回である。
 …何か明るい話題を探そう。 秘密刑事の身分を明かせない大門さんがうっかり佐野くんに「僕は秘密け…」と口走ってしまい、誤魔化して指先で頬を掻くところがちょっと可愛いとか。 「新田警部が出張中」という事で張り切って指揮をとる中野刑事の活躍が微笑ましいとか。中野刑事の部下の山田刑事がひそかに大活躍しているとか。



  

  
18 必殺のアームガン グリーンベレー
       
ストーリー概略
 浩が偶然知り合った不思議な隻腕の男―――その正体は優れた射撃の腕をもつメカボーグ・グリーンベレーだった。
Σ団はハイハイ共和国大使館を密かに占拠して基地としており、事件が明るみに出ないようグリーンベレーに大使館員を暗殺させる。 この事件をΣ団の仕業と睨んだ新田警部だったが、治外法権を楯に警察は大使館への立入捜査を拒否される。
そこで大使館裏口から潜入した大門は、大使館内にミスボーグとグリーンベレーを発見、グリーンベレーと一戦を交えるが飛竜三段蹴りを破られ、一旦退却を余儀無くされた。
 しかしグリーンベレーをΣ団のメカボーグとは知らず、その強さ優しさに憧れる浩。 その憧れを壊させない為、大門は新田にグリーンベレーの正体を口止めする。
 そして新田家では、この事件の為に休日の釣りの予定がふいになっていた。 父親の仕事は理解しながらも落胆していた浩の前に再び現れたグリーンベレーは「おじさんと釣りに行こうか」と浩を連れ出す。
 それを知った大門は二人の後を追った。
 魚釣りを楽しむ浩を渓谷に残し、大門の追跡を予測して山中の吊り橋で狙撃するべく待ち構えるグリーンベレー。 偵察に飛ばしたヘリキャットでその姿を確認した大門は、吊り橋下にシーシャークを使って渡したロープの上をザボーガーで渡るという秘策でグリーンベレーの裏をかいて奇襲に出た。 メカボーグ形態に変身して応戦するグリーンベレーはあと一歩というところまで大門を追い詰めたものの、ザボーガーの速射破壊銃の前に倒れる。
 グリーンベレー愛用のベレー帽だけが、何も知らない浩の手に思い出として残されたのだった。
個人的な感想
冒頭「大門豊を倒してわしのメカボーグにするという夢は消えんぞ」といきなり語り出す悪之宮博士に「そんな夢見てましたっけか…?」と思わず考え込んだり。 今回ここだけの登場ながらマッドサイエンティストらしいアピールはばっちり。
 この話は浩くんが大門さんをおびき出す囮に使われつつも、最後までグリーンベレーを「強くて優しくて親切なおじさん」と思っている、少し毛色の変わった話である。 「メカボーグ」の設定の活きている(第16話参照)グリーンベレーは変身前でも強いのは勿論の事、きちんとした悪役の美学があるらしい辺が良し。 全く警戒していない浩くんを人質に取って戦いを有利に進める事もできた筈なのに、あえて離れた場所で大門さんと戦う辺とか。 大門さんにまさにとどめを刺そうという場面での「あの子に何か言い残す事はないか?」なんて台詞にはちょっとぐっとくる。
 そして新田家の場面は本当に微笑ましい。 新田さんの「お〜い、お茶」(しかしこのキャッチフレーズも長命だな)とか、きっちり仕切る美代ちゃんとか、じゃれている浩くんと大門さんとか。 浩くんとの約束がふいになって「Σ団の奴、俺の家庭まで破壊しやがる」とぼやく新田さんに「日曜休戦なんてあればいいんだけど」と返す大門さんも何やらアットホーム。
 ところで浩くんがグリーンベレーに連れ出されたと聞いて飛び出した(お約束)と思いきや、次の瞬間「…美代ちゃん、行った場所は?」と聞きに戻ってくる大門さん。 緑深い山中(ちなみに少し前のカットで映った電車は京王線のようだった。高尾山か?)でグリーンベレーがΣ団員に「大門豊は必ず来る。皆散れ!」と指示する緊迫した場面の直後なのに、「おかしい……道を間違えたらしい」と山道で大真面目に呟く大門さん。 とことん大門さんらしくて良い。ああ。大好きだ大門豊。



  

  
19 キリマンジャロの赤い豹
       
ストーリー概略
国立科学研究所で平和利用の為に開発された新火薬・ニトログリセリンの2000倍の破壊力をもつニトロトンSV。
 その完成を知ったΣ団が、ニトロトンSVの強奪に乗り出した。 最初に雇った金庫破りの男は首尾よくテスト用のニトロトンSVを盗み出したものの、警備員に追われて逃走する途中で取り落とし、あえなく爆死を遂げる。 しかし新火薬の威力を目の当たりにしたΣ団は、どんな金庫でも焼き切る能力をもつメカボーグ・バーナー8を起用して本格的な奪取に乗り出す。
 アフリカへ送る製品版のニトロトンSVを盗もうとしたバーナー8は大門によって退けられたが、新田は安全の為ニトロトンSVを研究所から移そうと考えた。
Σ団の先回りを防ぐ為、大門と中野刑事にも目的地は知らされない輸送計画が開始される。 経由地に到着したら「キリマンジャロの赤い豹」の暗号で目的地を通信する、と命じられて出発する大門と中野刑事。
 案の定、その途中に待ち受けるΣ団。仕組まれた輸送車の故障に、やむなく大門達は整備工場へ向かう。だがそこに待っていたのは工場員に変装したバーナー8だった。
 バーナー8は中野刑事を倒し、新火薬を奪う。奪還するべく後を追った大門達はΣ団の配置した地雷原に踏み込むが、マウスカーの先導で見事突破した。 そして用を足しに草むらに入った中野刑事は、そこでミスボーグとバーナー8の乗る自動車を発見する。 振り落とされそうになりながらも、自動車の屋根にしがみつく中野刑事。 その声を聞きつけて追ってきた大門とザボーガーがバーナー8を撃破、新火薬を取り戻した。
 指示された経由地に到着した大門達は、暗号「キリマンジャロの赤い豹」を通信する。
しかし目的地の飛行場にようやく到着してみると、輸送用の特別機は今まさに離陸したところだった。
 大門達の輸送は新田警部の仕組んだ陽動作戦であり、本物のニトロトンSVは既に別ルートで運ばれていたのだ。
個人的な感想
ニトロトンSVは「アフリカのタンザ国」の依頼を受けて研究開発されたもの。 なんとインド洋とビクトリア湖とを結ぶ大運河を建設するという壮大な計画に使用されるとの事である。…キリマンジャロの運命や如何に。
 序盤で登場する「金庫破りの男」は実は二人組。 怪しげな黒スーツのその名も「村正」と、弟分らしき派手なシャツの「サブ」という、面白そうな凸凹コンビのキャラクターだったのに、あっという間に爆死してしまって勿体なかったかも。
 そしてコンビといえば、今回あちこちで大門さんと中野さんのかけあいが微笑ましい。
自動車工場でバーナー8に襲われて昏倒した中野さんを支え起こしたら間違って殴り掛かられ「僕ですよ!」と両腕を振る大門さんとか。 地雷原で大門さんの背中にひしとしがみつく中野さんとか。それに笑って「大丈夫ですよ」と答える大門さんとか。 ザボーガーでタンデムする大門さんと中野さんには「いいコンビだなあ(あ、トリオか)」と思わず頬が緩む。
 しかもこのトリオより一枚上手な新田さんも素敵。 道中の難儀を考えれば、大門さんと中野さんが文句を言いたくなる気持ちも解るが。 ちなみにこのラストで中野さんが大門さんに向かって「新米刑事」と言っているので、ここでもう中野さんは大門さんが秘密刑事であると知っているのが明らかになる。
 ところで大門さん達が輸送していた新火薬のケースに大書されていたのは「NITORON-SV」の文字。 「えっ『ニトロトンSV』だよね?『ニトロン』じゃないよね?」と確かめたりしたのだが、実はここで密かに「こっちはニセモノだよーん」という伏線が張ってあったのかもしれない。 そう言えばあれだけケースごと振り回したり、果ては遠投したりしたのに爆発しないところをわざわざ見せたりしたのも、もしかして。…というのは考え過ぎだろうか。
 でもこの回も、ザボーガーが故障した輸送車を引いていく時にちゃんと道交法に従って牽引のロープに白い布をつけていたりと、時々妙に細かいところがきっちりしている「ザボーガー」なのだった。 ザボーガーが普通に走ってる世界なのに…と書きたいところだが、実はTV番組のコーナーで「現実にマシーンザボーガーを自作して公道を走っても、警察に止められたりしない(らしい)」という話を以前見た事があったり。 (ナンバープレートも取得済)



  

  
20 死を呼ぶ合体ロボット・ゴーゴン
       
ストーリー概略
Σ団のアンドロイド・レッド、ブルー、イエローの3人組が大和研究所を襲い、ザボーガーにも勝るロボットを作れる新素材の製法を記したマイクロフィルムを奪い去るという事件が起こった。 だが掴まされたのがダミーのフィルムと知ったΣ団は、今度は本物の在り処を知る大和博士の誘拐を企てる。
 一方Σ団の再襲撃を予見した警察も、中野刑事を中心として博士の警備体勢を整えていた。
 その警備に合流するべく研究所に向かった大門は、途中でΣ団の急襲を受ける。攻撃を退けた大門が研究所に到着した時には、既に博士はアンドロイド・レッド、ブルー、イエローに誘拐された後だった。
 フィルムの在り処を白状させようと、大和博士を拷問するΣ団。
 博士を一刻も早く救出しなくてはならない。 新田警部は大門の提案を容れ、偽のマイクロフィルムをつかって再度Σ団を欺く計画を立てる。 危険なその交渉役を自ら買ってでたのは、博士誘拐の責任を感じていた中野刑事だった。
 中野刑事はミスボーグと共に博士の囚われている場所へ向かうが、持参したフィルムを解析して偽物と見破ったΣ団は、中野刑事を殺そうと迫る。
 だがその前に、密かに中野刑事の後を追ってきていた大門が現れた!
 大門がΣ団をひきつけて戦う中、中野刑事は囚われの大和博士を救出する。
 3人のメカボーグが合体するロボット・ゴーゴンがその前に立ち塞がるが、ザボーガーの敵ではなかった。
個人的な感想
新田さんの台詞で、新田警部と中野刑事が所属しているのが「特別捜査課」なのが明らかになる。「特命捜査課」みたいなものか。管轄が今ひとつはっきりしない辺は似てるかも。
 前回に引き続き今回も大門さんと中野さんが仲良しで、もうそれだけで嬉しい。
 ときに大和博士を誘拐された事で新田さんに叱られ、しょげている中野さんを元気づけようと、大門さんが(新田警部からの)水虫の薬を渡す場面があるのだが「これ、中野さん思いきり勘違いしてる…」と見る度に思ったり。
大門さんが薬を預かったのは博士が誘拐される前なのだが、この場面を見ていると、どうも「叱った後に、大門さんに渡した(←失策を叱っても、新田さんは中野さんを見捨てたりしない)」と中野さんに誤解させるような流れになっているのだ。 「まさか大門さんが意識的にそう仕向けたのか?」と深読みできなくもないが、大門さんなのでおそらく、いや絶対そんな小細工はない。 でもそれで中野さんは元気を取り戻すので結果オーライ。つくづくと天然最強な大門さんである。
 ところで今回2回も「偽物のマイクロフィルム」が登場するのだが、一応中にはちゃんと謎の図や式が書込まれていて、見た目には本物なんだか偽物なんだか解らなかった (と言うか、そもそも構造式なのか何かの設計図なのかすら解らないというべきか)。 それをざっと見ただけで「これは偽物だ!」と解る悪之宮博士は、やはり天才に違いない。
 そして最後まで守られた本物の隠し場所は、なんと大和博士の奥歯(さし歯か?)の中。 確かに安全な場所ではあるが、入れますかそこに。本来なら「これにて一件落着!」の筈の皆さんの朗らかな笑いが妙に長く続いて「もう笑うしかない!」と聞こえるのは気のせいか。 でも「ザボーガー」世界では、この程度なら「常識的な科学者」の範疇なのは言うまでもない。



  

  
21 処刑ロボット大作戦
       
ストーリー概略
 右手に超音波銃をもつコンピューターアニマルジュニアを、処刑ロボットとして更に強化するべく原子力研究所を襲ったΣ団。 奪った小型原子力発電機で処刑ロボットを完成させた悪之宮博士は、ザボーガーと大門の処刑計画実行の命を下す。
 そんな折、新田家では約束していた父兄会出席よりも事件の捜査を優先させた新田警部に、浩が不満をぶつけていた。 聞き分けのない浩に、新田警部は思わず手を上げてしまう。家を飛び出す浩。
 その後を追った大門は浩の心情を酌みながらも、新田警部の立場も理解するよう優しく言い聞かす。
 家に戻ろうとする二人の前に、しかし処刑ロボットを連れたミスボーグが立ちはだかった。
 催眠ガスで眠らされ、Σ団の処刑場に連行されてしまった大門と浩。だがやがて意識を取り戻した大門は、隠し持っていた武器で難無く牢を脱出する。 そして拉致される直前に呼び寄せていたザボーガーで見張りを撹乱し、緊急通信用の発振器を持たせた浩が安全な場所へ逃げる迄、わざと囮となってΣ団の目をひきつけるのだった。
 浩は新田警部に無事保護されるが、大門は再びΣ団に捕われてしまった。更に無抵抗のまま十字架に繋がれたザボーガーに、処刑ロボットの超音波銃が向けられる。 鉄の棒をもぼろぼろにする高振動波を浴びせられたザボーガーを破壊するべく、容赦なく迫る処刑ロボットの左手のドリル。
 しかし次の瞬間、破壊されたのはドリルの方だった。
ザボーガーの強固な外装には、処刑ロボットの超音波砲も通用しなかったのだ。 自由の身となった大門とザボーガーによって、またもΣ団の作戦は水泡と帰したのであった。
個人的な感想
前回に引き続き頑固一徹な新田さんのフォローに大門さんが回っている形だが、大門さんの場合はそれが「気配り」的細やかさと言うよりも単にナチュラルな感じで良。 かつては浩くんと同じように「父親の仕事が忙しくて構って貰えなかった子供」だった大門さんが、浩くんの立場に立ちつつ諭す場面が嬉しい。 ところで浩くんだが、女の子と見まごう位(すみません)長い髪が、つやつやさらさらで羨ましい程である。今更ながら、手足も細くて大変に可愛らしいお子さんだ。
 足と言えばこの回、大門さんの足の長さが妙に目につくのは何故だろう…浩くんを庇う場面が多かったせいか。 些末事ながらボディラインのくっきり浮き上がる薄手のシャツはあまり着て欲しくないものである。どうも気になるから。
 …えーと。
 婦女子的感想はこの位として、牢から脱出する場面では久々に大門さんが「秘密刑事」らしいところを発揮している。
胸ポケットにはペン型(?)の吹き矢(麻酔薬入り)、靴底からは爆薬、半袖シャツで隠した二の腕には絆創膏で貼付けてあった発振器。ほとんど忍者部隊である。
 そして発振器と言えば、前半で「お父さんは僕より仕事が大事なんだ」と拗ねていた浩くんに「これを持っていればお父さんが助けにきてくれる」と大門さんが持たせる下りもスタンダードながらさりげなく(ここ重要)、きちんとした話の組立でこちらも良。 つくづくと「ザボーガー」は「父と子のドラマ」である。 なので捕まった時には私服だった筈の大門さんがいつの間にか戦闘服姿でヘルメットまで完全装備しているだの、浩くんを逃がした後は妙にあっさりΣ団に捕まったなだのといった細かい事も、全く気にならないのだ。
 何よりそんな些細な事等どうでもよくなる程、この回の映像もそこかしこでインパクトが強い。
ザボーガーの外装に自損して弾け飛んだ処刑ロボットの片腕のドリルがそのまま横にいたΣ団員の腹をまともに貫通している(!)場面とか、処刑ロボットの爆発もろとも炎に包まれる十字架型の処刑台のカットとか。濃いなあ「電人ザボーガー」。



  

  
22 謎のマシーン・ホーク 秋月玄登場!!
       
ストーリー概略
銀行を襲撃し金を奪って逃走する強盗団の前に現れた、一人の青年。
 謎のマシーンを駆って執拗に追跡し、ついに強盗団を皆殺しにして金を奪い取ったこの青年こそ、悪之宮博士が呼び寄せた「鉄の輪」こと秋月玄だった。 大門豊と対決するべく、愛車マシーンホークと共に悪之宮博士の元に戻ってきたのだ。
 この事件の犯人が「変わったバイクに乗った若い男」である、と警察から聞かされた大門は、独自に捜査を開始する。
 今度は単身で銀行を襲った秋月を発見し、正体は知らないながらも後を追う大門。秋月はそんな大門を待ち構え、戦いを挑む。 大門の飛龍三段蹴りに、秋月の必殺技・サンダーパンチが炸裂する。
 ほぼ互角のまま続く大門と秋月の格闘だったが、そこに割って入ったのは秋月の単独行動を制しに現れたミスボーグだった。 気をそがれた秋月は奪った金を打ち捨てたまま、その場から立ち去る。 しかしマシーンホークを走らせている最中、いきなり頭を抱えて苦しみだす秋月。それは悪之宮博士に背いた為に与えられた罰であった。 秋月の頭に嵌められた鉄の輪は、悪之宮博士の遠隔操作によって激痛を与える仕組みになっているのだ。
 一方取り戻した盗難金を持っていた事から、大門には銀行強盗犯人の嫌疑がかけられてしまった。Σ団の存在を知らず、話の通じない刑事の取調べに苛立つ大門だったが、中野刑事の口ききでようやく釈放され、再びΣ団の捜査に向かう。
 そして大門を倒す為、ミスボーグは新たな計画を立てていた。 爆弾や狙撃隊をセッティングしたルート上に大門をおびきだすようミスボーグに命じられ、渋々マシーンホークを駆ってザボーガーとの競走に臨む秋月。 しかしミスボーグの作戦を快く思わない秋月は、ザボーガーと並走しながら仕掛けられた罠について明かすのだった。
 その助言もあって数々の罠を間一髪のところでくぐり抜け、大門とザボーガーはミスボーグの追撃を振り切る。 その前に再び現れて勝負を挑んだ秋月だったが、ザボーガーに腕を傷つけられて去っていく。
 去り行く秋月の後姿に、大門は宿命のライバルの出現を知るのだった。 そしてその頃、悪之宮博士は新たな戦力となるΣメカ1号デス・ガンダーを完成させていた。
個人的な感想
Σ団編の面白アイドル宿命のライバル・秋月玄ついに登場。
喋り方や仕草等で悪役らしさを出そうと努力しているのは解るものの、どうにも「無理して突っ張っている青年」に見えてしまうのは風戸拳氏の元々のキャラクターの賜物か。 悪之宮博士との「(疑似?)父と子」関係、終始彼を「鉄の輪」のコードネームで呼んで力関係を誇示しようとするミスボーグ等、Σ団側も彼の登場で盛り上がってくる。
 さて、この回は「水を撒く大門さんのランニングシャツ姿」をはじめ全編衝撃的場面大行進なのだが、最初の事件の際からまず大門さんを疑って警察が話を聞きにくる場面が、個人的には何と言ってもこの回の最大びっくりポイントだった。
 何故ならその根拠が「貴方は変なバイクを持っているそうですね」。
 えーと。これまでマシーンザボーガーが走っていても、誰も気にしている風もなかったので「そうかここは別にザボーガーが珍しがられたりしない世界なのだな」と勝手に思っていたのだが、どうもそういう訳ではなかった模様。 あの世界でもザボーガーは変わったバイクに見えるのか、と思いつつ、しかし幾ら何でもマシーンホークとはどこもかしこも違い過ぎるので「もう少し詳しく目撃証言取りなよ…」と思ったのだが。
 しかも二回目の事件の時には、襲われた銀行の警備員が大門さんを「犯人に似ている」と証言したとの事。「変わった服を着て、変わったバイクに乗っている」という「目が二つで鼻が一つで口が一つ」も同然な共通項があるだけで、どこをとっても大門さんと秋月くんに似たところはないと思うのだが…記憶がいい加減過ぎやしないか警備員。
 そして「あれ(強盗事件)はΣの仕業なんです」と大門さんが主張しても「何だΣって」と全くとりあおうとしない警察。 だが当の警察の中に「対Σ団」部署として「特別捜査課」(第20話参照)がある筈なのだが。警視庁と所轄署では話が違うのかもしれないが、何かこう、あちらもこちらももう少ししっかりして欲しいこの世界である。まあ世の中なんてそんなものか。
 なお秋月くんは悪之宮博士から、大門さんは中野刑事から「一人で勝手に行動しないように」とそれぞれ言われているのだが、二人とも思いきり聞き流して好き勝手に動いている。 この辺もある意味ライバル同士と言おうか、単に似たもの同士と言おうか。既にここから、今後の方向が垣間見えるようでもある。ああ。やはり宿命のライバルと言えるのかも。
 しかし秋月くんのマシーンホークはザボーガーのように変型したり呼んだら来てくれる訳でもないので、正々堂々対決するには既に不利な気がする。 マシーン形態のまま大門さんごと崖から落ちた時も、ザボーガーは変型して後から落ちてきた大門さんをがっちりキャッチ(いわゆるお姫様だっこ)してくれるし。 しかもその後で大門さんときたら、いきなりザボーガーにチェーンパンチやブーメランカッターで生身の秋月くんを攻撃させたりするのだ。それでいいのか正義の味方?



  

  
23 破壊!魔のΣメカ デス・ガンダー
       
ストーリー概略
「トンネルに住む大きな目玉の怪物が、自動車を破壊する」という美代の友人ミチルの言葉通りに起きた、原因不明の事故。
 調査に向かった大門だったが、その途中に待ち構えていた秋月が立ち塞がる。
先を急ごうとする大門を挑発し、勝負を挑む秋月。やむなく応じたマシン勝負から空中戦に転じて秋月を退け、何故自分を狙うのか尋ねる大門。 悪之宮博士の命令もあるが「俺は自分より強い奴の存在を認めない」のだ、と答える秋月は、なおも手榴弾で大門を倒そうとする。 一度は窮地に陥るものの大門はその攻撃を逆手にとって秋月を撃退、再びザボーガーを駆った。
 しかし問題のトンネル近くで新婚旅行の自動車と出会った大門は、直後にその車が事故にみまわれる現場に居合わせる事になる。 首の骨を折られて即死状態の被害者達。しかし事故直後にもかかわらず、トンネル内には不審な影はない。
この事故を起こした加害者はどこへ消えたのか?
 一方再びトランス状態に入ったミチルは、トンネルの中で腕を伸ばすロボットカーの姿を幻視する。
 次々と事故を引き起こしていたのは、Σメカ1号デス・ガンダーだったのだ。
 そしてミチルが続けて視たのは、今まさに新田警部と中野刑事の乗った車がトンネルにさしかかろうとしている場面だった。 連続事故に疑問を抱いて現地に向かった新田警部もまた、トンネル内で「光る目」に遭遇する。 やはりあのトンネルには何かある、と睨んだ大門は改めて現地に向かった。
 自らトンネルに突入し「光る目」をかろうじて躱した大門の前に、とうとう姿を現すデス・ガンダー。
これまでの事故は全てトンネル内部に隠れていたデス・ガンダーの性能テストだったのだ、と語る悪之宮博士に怒りをたぎらせる大門だったが、デス・ガンダーの機銃攻撃に足を傷め、一旦地獄ヶ原まで退却を余儀なくされる。 長い腕にブーメランカッターやチェーンパンチを払いのけられ、速射破壊銃も通用しないデス・ガンダーの前に窮地に陥るザボーガー。 まさにデス・ガンダーの下敷にされようとするザボーガーに高笑いし、Σ団員に大門の抹殺を命じる悪之宮博士。
 そして再びその場に現れた秋月が、動けない大門にロープを投げかけるとそのままマシーンホークで走り出す。
果たして絶体絶命の大門とザボーガーの運命は?
個人的な感想
当時のオカルト・超能力ブームを反映してか、美代ちゃんの友人は「海外赴任の両親を思い続けている内に」能力が開発された超能力者。(同じ1974年作品でも「仮面ライダーX」に(こちらは当時本物と言われた)スプーン曲げ少年が登場したり、「電撃!ストラダ5」の紅一点アンドロメダが予知能力者だったり。そう言えば前年には「イナズマン」もあるのだが、こうなるとブームと言うより段々少年漫画やSFに於ける超能力テーマの領域に踏み込みかけてくるので以下略)
 ちなみに彼女の場合は「予知能力」と言うより、実際に離れた場所で起こっている事故をリアルタイムで感知しているので「遠感知能力」だと思うのだが。どうでもいいか。 大門さんには「オカルト遊び」の一言で片付けられてたし。
 そしてそんな題材に倣うなら、何もない草原で大門さんを待ち伏せていた秋月は「大門さん感知能力者」とでも呼ぼうか。
 いよいよ大門さんをライバルと思い定め、その行くところどこにでも(テーマBGMと共に)現れる秋月玄。
しかし勝負を挑めば「お前の相手をしている暇はない」と断られ、挑発してやっと相手をして貰うもさっくり蹴りを入れられて地に這い、口惜し紛れに「泣け!叫べ!」などと高笑いして(何だかこの辺には養父の薫陶を感じる)投げまくった手榴弾はあっさりキャッチした大門さんに投げ返されて自分が爆風に吹き飛ばされる、と登場2話目にして既に先行きが思いやられる感じになってきている。 大丈夫なのかこのライバル。かなり可愛いのだが。
 そんな秋月を持て余し気味の大門さんだが、記念写真撮影まで引き受けておきながら新婚旅行カップルの車が入っていく寸前までそれが問題のトンネルである事に気づかなかったり、「ロボット人間が乗った車…(中略)信じられない」などと「ザボーガー持ちの貴方が言うか…」な発言があったりと、相変わらずこちらもお茶目な秘密刑事ぶり。 やはり似たもの同士か。
 ところで「安全ベルト(=シートベルト)はいいのか」と中野さんを注意する新田さんに、19話に続いてここでも妙に交通ルールを遵守する「ザボーガー」を見たり。 しかも事故後の病院では、医師が「安全ベルトをしていたのでこの程度で済んだ」とまでコメントしている。ちなみに良く見てみると、成る程それ以前の被害者達は誰もシートベルトをしていないのだ。よい子の番組「電人ザボーガー」。