「来たぞ我らの!ウルトラマンスタンプラリー」を巡る冒険・外伝/御徒町編(序章)


《前置き》
2015年1月某日、代々木公園のとあるイベントに出かけていった女の目にふと留まったのは、原宿駅の一角に置かれたスタンプ台前の行列だった。
 老若男女入り乱れての十数人は、皆手に手に赤い表紙の冊子を持っている。
「ああ、駅にポスター貼ってあったな。でもスタンプラリーはまわるの大変だしな」と一旦は通り過ぎたものの、イベント帰りにまた通りかかるとスタンプ台は無人だった。
 見えない手に招かれるようにふらふらとスタンプ台に近づく女。
 横に置かれたスタンプ帳を取り、ナースのスタンプをぺたんと捺す女。

「……楽しい……」

電車に乗り込み、手にしたスタンプ帳を改めて最初から開いてみる女。
頁をめくる程に、次第に目が真剣になってくる。

「……この空白を、怪獣スタンプで埋め尽くしたらどんなに楽しい事だろう……」

それが「来たぞ我らの!ウルトラマンスタンプラリー」という長い冒険の始まりだった……。
《前置き・終わり》


それでも当初は都区内だけ捺せばいいや、と思っていた筈が、いつの間にか全駅制覇を目指す事になった「ウルトラマンスタンプラリー」だったのです。
 長い冒険の途中には「適当な記憶で『新日本橋駅? 京葉線だっけ?』と東京駅を歩いていったら実は全く反対方向の総武線快速の駅だった」とか「スタンプのない南千住駅で降りてしまった」といった陥穽も多々待ち受けていたのですが、それも全64駅を制覇して「ステーションコンシェルジェ東京」で全駅制覇のスタンプと「全64駅ウルトラ制覇証」を貰った時には「何もかも皆懐かしい……」な境地でした。

2015年2月14日、時刻は17時過ぎ。
「帰るにはちょっと早いな。折角周遊券を買ったんだし(←貧乏性)どこか行こうか。あ、そうだ西日暮里駅のダダのポスター写真を撮りに行こう。そうだそうだ」と思い立ったのです。

スタンプは全部捺したのに今更一体何をしたいのか、という疑問はごもっともながら。
今回スタンプラリーをまわっていて、スタンプを捺すのは勿論楽しかったのですが、参加駅がそれぞれに趣向を凝らしているのを見るのも大変楽しかったのでした。

例えば市ヶ谷駅の、ペーパーフラワーで作られたウルトラマン飾り。この駅のスタンプは「M1号」なのですが、まあ細かい事は言いっこなしです。
田町駅の可愛い折り紙展示。この駅のスタンプも「異次元列車」なのですが、まあ細かい事は(以下略)
あえて星人名は書きませんが王子駅のスタンプ台。畳敷に卓袱台のレイアウト。
コミケの折にもナイスなポスターを張り出していた大崎駅は期待を裏切らず、マニア心をくすぐるポスター。左側のバルタン星人ポスターと併せて、この駅のオリジナル展示。
逆に一般向けに分かり易く大変可愛い、駅員さん自らお手本を示している十条駅の列形成お願いポスター。
今回の個人的一押し。日暮里駅北改札内でお仕事するゲスラさん。旗についている桜の花飾りは最近つけられた様子。お気に入りなので、右の写真をクリックすると大きな写真が別画面で開きます。
浜松町駅はネット上のあちこちで写真を見かけたので今更上げなくてもいいような気はしましたが、スタンプ台近くの等身大フィギュアに比べてこちらの写真を撮ってる方が少なかったのは場所のせいでしょうか。 3・4番線ホーム端のコスプレ小便小僧像。帰って写真を見せたら若い頃この辺に勤めていた母親が大変懐かしがったので、右の写真をクリックすると大きな写真が別画面で開きます。

と、この辺は各駅の独自展示だったのでスタンプを探してまわっていた時に気づいて写真を撮っていたのです。

ところでこのイベントに参加するにあたり「駅のどこにスタンプがあるか」という情報は大変重要でした。
 新宿駅は東口とか、上野駅は不忍口とか、とにかく駅にスタンプは1カ所なので、大きな駅でうっかり別方向に出てしまうと駅を縦断横断しなくてはならなくなります。 きちんと用意をする人はその辺事前にサイトなどで設置場所を確認して行く訳ですが、この行き当たりばったり人間がそんな事を勿論する筈もなく。
 なので私のような人々が迷子にならないよう、各駅とも階段やらホームの時刻表の余白やら事務室の壁やら柱やら、とにかく様々なところにポスターを貼って下さっていた訳です。

例えばこんな感じです。
常磐線クリア記念に撮った取手駅のポスター。

「スタンプはこちらです」
「西口改札の 外にあります」

と親切なご案内に導かれて、無事スタンプを捺して帰りの電車に乗る事ができました。

いわば道標のようなこのポスターを頼りに、各駅をまわっていたところ。
西日暮里駅でいきなりダダに案内されたのです。

「え、何?」と思いつつもその時は先を急いでいたので、そのまま通り過ぎていたのですが。
 もう先を急ぐ必要もないしもう一度あのポスターを撮りに戻ろう、と思った2015年2月14日17時過ぎ。
 話もようやく本題に戻りました。

東京駅から山手線に乗って、西日暮里へ。

めでたく上の写真を撮って「しかしこうなると、まだ他にも何かあるんじゃないか」と見回していたところ、スタンプ台の横にもひっそりとダダからの挨拶を発見。

「西日暮里へようこそ!!
         ダー ダー」


ダダさん本人と通訳さんの立ち位置がちょっと変わった感があります。 通訳さんはきっと駅員さんなのでしょう。ここまでのご案内はこのイベントのいわばホストであるダダさんにお任せしたものの、スタンプ台まで来た客につい駅員さんのウェルカム精神が発露した、そんな光景が想像されます。

満足したところで、目の前にあった「サンピエロ」というパン屋さんで一休み。
 熱い紅茶に目を細めつつ、スタンプ台に立ち寄ってはスタンプを捺していく同輩諸氏の姿をお店のガラス越しに眺めるともなく眺めていました。
 ……先程までの満足感が、新たな疑念に繋がるまでは。

それは。

「この全駅共通フォーマットのポスターに、面白い趣向を凝らしているのは果たして本当に西日暮里駅だけなのか……?」

このことであった。(←池波正太郎風)

「……いやもう、もう一度全駅走破は無理です……多分、結構どの駅でも(下調べしてなかったから)ポスターはしっかり見ていたから、何かあれば西日暮里みたいに記憶に残った筈。 何よりともかくもう18時過ぎてるんだし、今からまわり直すのは絶対無理無理無理!」
と自制する声を聞きながらも、しかしここで引き下がってはオタクの名折れなのです。
「解りました。確かにもう今の時間からの全駅検証は無理です。でも今居るのは西日暮里ですから、帰るにはどちらにしても山手線で東京まで出て中央線に乗らなくてはなりません。その途中駅くらいなら下車して確かめても良いのではないでしょうか?」
もっともらしく聞こえますですが、実はその途中駅が20駅程あるという事実には目をつぶっています。 にもかかわらず、もの凄く理性的な折衷案を出したような気がしている辺、自分事ながら救いようのない感じです。

新たなる旅立ちに向けてカップを片付けながら「あ、そうだ。せっかくだから日暮里駅では気になっていた『にゃっぽり』(日暮里駅のイメージキャラクター)のポスターとかの写真も撮っちゃおう♪」とささやかに浮かれていた私は、何だかんだ言っても既に帰宅時の寄り道モードでした。
まさかその先に、ある意味本日最大の落とし穴が待ち受けているとは知る由もなかったのです……(下のNEXTボタンで続きへ)