「電人ザボーガー」各話紹介・第1話〜第8話


  
1 たたかえ!電人ザボーガー
       
ストーリー概略
次々と凶悪犯罪を重ねる秘密殺人強盗機関Σに対抗するべく、コルタ島で訓練を受けていた秘密刑事・大門豊が帰国した。
亡父・大門博士の旧友である警視庁の新田警部から父の遺言状を渡された大門は、文面に指示された教会へ向かう。
 教会地下の隠し部屋では、大門博士が遺した映像と犯罪捜査ロボット・電人ザボーガーが大門を待っていた。
しかし遺言状に同封の起動キーではザボーガーは動かない。亡き父が言う、初回の起動に必要な「怒りの電流」とは何か?
 車を盗んで逃走した怪しい女(Σ団のミスボーグ)を追った大門の前に現れたのは、かつての父のライバルでありΣ団の首領である悪之宮博士だった。 大門博士の発明したダイモニウムを奪い、博士を殺したのは自分だ、と大門に告げる悪之宮博士。 父の仇を討とうとする大門だったが、ダイモニウムで動くメカアニマル・アリザイラーによって瀕死の重傷を負わされてしまう。 一度は心停止に陥ったものの、しかし幼少時から胸に埋め込まれて心臓の動きを助けている「電極回路」の働きで蘇生した大門はやがて意識を回復し、悪之宮博士への激しい怒りに燃えた。
 その瞬間、握りしめた起動キーに火花が走った!
 電極回路から迸る大門の「怒りの電流」が、ザボーガーをついに起動させる。
国宝・黄金の仏像を強奪しようとするシグマ団に抵抗むなしく倒されていく警官隊。しかしそこに現れた大門とザボーガーによって、アリザイラーは倒された。
 今ここに大門豊と電人ザボーガーの戦いが始まったのだ!
個人的な感想
怒濤の如き第1話である。
 冒頭から怪人二十面相ばりに日時指定予告し、奇抜な作戦というか力技でエジプト黄金展を襲うΣ団。帰国早々Σ団に襲われるも金属棒をへし折り倉庫の壁を素手でぶち抜き、熱の入ったアクションを披露してくれる大門豊(あまりに気合いが凄くて初見ではちょっと驚きました。すみません)。 あげつらうも野暮ながら何故か息子のリアクションまで想定済みで撮影されている不思議なフィルム遺言に、心停止から何が何でも生き返らせる「電極回路」(しかしこれが最終回までキーになる事に…)と初回から絶好調な大門博士の「遺産」。 折角の美人が台無しな変身ミスボーグ。とざっと挙げただけでも、一度見たら忘れられなくなる事必至の要素てんこもりである。
 そして活き活きと動いている大門豊の勇姿にはもうそれだけで心躍る。江戸っ子喋りも素敵で頼りがいのある新田警部、初戦に勝利した大門に乗り込まれたアジトを盛大に爆破処分して高笑いする悪之宮博士、と善悪それぞれの大人の余裕も忘れてはいけない。 初めてザボーガーの変型を見た時のわくわくした気持ちを何にたとえようか。
「この第1話を見て面白いと思えるか」が「電人ザボーガー」を楽しめるかどうかの判断基準になる、と断言しても差し支えない程、きっちりと作品の主張が貫かれている第1話である。
 どうでも良い事ながら、地下室の場面でヘルメットと戦闘服が「自動的に卓上にせり上がってくる」くだりではどう見ても誰かが「よいしょ」と下から押し上げているようにしか見えず、何だか妙に心あたたまる。



  

  
2 これが秘密殺人強盗機関Σだ
       
ストーリー概略
秘密殺人強盗機関Σの総会が開かれ、世界各地の支部ボスが東京に集結した。
それを察知した警察は検問を実施、秘密警察機関から連絡を受けた大門も現場に急行する。
囮作戦などで警察をかわして秘密裏に支部ボスが本部に集結していく中、支部ボスの一人・エレキアンデスは途上で警察に阻止されかかるもメカアニマル・カマギラーと共に強行突破する。 Σ団幹部を逃がすまいと血気にはやり、その後を追おうとする大門だったが、駆けつけた新田に「無茶をするな」と制止される。
思うように戦えない事に納得の行かない大門。しかし新田は冷静さを失わないよう諭し、父・大門博士のいまわの際に交わした約束を語って、大門の行動を諌めるのだった。
 逃走したエレキアンデスは、カマギラーを使って関東原子力研究所のウラン貯蔵庫を襲った。到着した大門とザボーガーの活躍でカマギラーは倒されたが、Σ団は拉致した新田の娘・美代の虚像を使って警察に捕らえられたエレキアンデスの解放を要求する。 やむなくその要求をのんだ警察だったが、美代は依然Σ団の手中にあった。
個人的な感想
集まった支部ボスはさながら「世界ビックリ人間大集合」の趣きである。
一応全員サイボーグだそうで、変身もしないのに片手がドリルだったり目が何故かピンポン玉だったりと大変個性的なのだが、考えてみればΣ団は首領からして悪之宮博士なのだ。 覚えめでたきを図ろうとするならアピールは大事だな、と思わされる所でもある。そんな中で、さしたる仮装もしていないのに異様な存在感のある紅一点・中央アジアブロックボスのハリケーン大陸が凄く気になったのに、第3話以降は登場がなくて残念だった。
 Σ団が世界的な組織らしいと判明する一方、まだ大門さんはザボーガーの扱いに慣れていない。意気込んで呼んだのに「怒りの電流」が発生しない為ザボーガーが来てくれず、仕方なく現場に車で来たりしている。 実際の事件に際してはまだまだ、な大門さんをフォローしてくれる新田さんの存在は、だから本当に有難い。 「私は君のボディガードのつもりだ。老いぼれで頼りにならんがな」と語る新田さんにとって、大門さんも実子同様にまた「守るべき存在」なのだ。
そしてまたもや些末事ながら、テニス中の美代ちゃんが攫われた時に、阻止しようとミスボーグに飛びかかっていった友人・北川くんの果敢さも記しておきたい。 彼はこの後第3話にも登場して「すみません、僕がしっかりしていれば…」と謝るのだが、そんな事はないよ、と思う。どちらかと言えば優男系の少年なのに、ミスボーグ(しかも変身後)に素手で立ち向かおうとするとは何という勇敢さか。



  

  
3 大暴れ!水爆ゴリコング
       
ストーリー概略
Σ団基地に戻ったエレキアンデスは、その単独行動の失敗の責任と叛意によって悪之宮博士に粛正された。 更に密かな叛意を抱いていたヨーロッパ支部ボス・ヨロイバロンも処刑し、悪之宮博士は残った幹部を前に改めて新計画を披露する。
 ゴリコングと美代が新宿に現れたとの報に急行する警察と大門。しかしそれは悪之宮博士が操る虚像であり、その頃本物のゴリコングは原子力研究所のウラン貯蔵庫を襲撃していた。 研究所に駆けつけた大門とザボーガーだが美代を人質に取られていては思うように戦えず、ゴリコングの逃走を許してしまう。
 その夜、悪之宮博士はゴリコングの体内に水爆をセットしていた。一旦ゴリコングを退却させたのは、翌日ザボーガーと改めて戦わせ、ゴリコングの胸のスイッチを押させて東京で水爆実験を行うつもりだったのだ。
 夜が明けてビルの屋上に美代を連れたゴリコングが現れたが、前夜アジトで悪之宮博士の企みを立ち聞きしていた美代によって水爆の存在が告げられる。
 都民を水爆から守る為、新田は美代に及ぶ危険を承知でゴリコングの頭部の狙撃を決意した。 頭は外れたものの肩を掠めた弾丸に、美代を屋上から取り落とすゴリコング。あわや、と思われたその時、ザボーガーによって美代は無事救出された。
 水爆の仕込まれている胸を攻撃できないザボーガーは、凍結液でゴリコングを凍らせてその動きを封じる。 体内の熱量を上げて再び動こうとするゴリコング。その怪力に苦戦しつつも大門は水爆の解体に成功、本物に紛れて現れては大門達を翻弄するゴリコングの虚像もミニヘリコプターの妨害電波で消去する。 ついにザボーガーの速射破壊銃が、ゴリコングを撃破した。
個人的な感想
 冒頭で単に粛正するのではなく、まずただのワインを「叛意があれば呑んだ途端に死ぬ」と脅して心理的に追い詰めようとする悪之宮博士のあざとい性格がとことん素敵である。
にもかかわらず、美代ちゃんを監禁していた部屋にはたまに見回りが通るだけで、鍵もかけなかったというのはどうなのか。 そろそろこの頃から「悪之宮博士も実はツメが甘いんじゃ…」という疑念が生じてくる。
もっともあれだけ危ない相手に捕まっていたら何をされるか解らないし確かに部屋でおとなしくしているかもしれない、という気もする。しかしそっと抜け出してΣ団基地の中を出口を求めて歩き、あまつさえ悪之宮博士の計画までしっかり立ち聞きしてしまう辺り、美代ちゃんはなかなか剛胆な娘さんである。 「(捕まって)怖がってないかな」と心配する大門さんに「あの子はああ見えて結構気が強い」と返した新田さんは流石に父親だった。
 そして凍結を解いて暴れようとするメカアニマル・ゴリコングにまともに数回張られたり頭突きされたりしながらも力づくで押さえつけ、ついに水爆を解体してしまう大門さんに、「…貴方は本当に生身の人間なんでしょうか?」と尋ねたくなってくるのもこの辺から。 更にそして大門さんの作業中、並んでゴリコングの腕や肩をせっせと押さえているザボーガーがどんどん可愛く見えてくるのもこの辺から。



  

  
4 Σ殺人基地 殴りこめ
       
ストーリー概略
Σ団のサタンボーグが現金輸送車を襲った。
 警察と大門がΣ団と交戦するさなか、大門の前に死んだ筈の大門博士が現れる。 しかしそれはΣ団の作ったサイボーグ・偽大門博士だった。大門をおびき出した隙に、ザボーガーを電波遮蔽網で捕えて引き離すΣ団の作戦だったのだ。
Σ団の罠にはまって幹部アパッチドリルに追い詰められ崖から転落した大門、大門からの指示が受けられずΣ団になすすべもなく捕らえられてしまうザボーガー。そして大門を偽大門博士から守り匿った新田も、帰路にΣ団に捕われ、大門の居場所を明かさなかった為にアパッチドリルに重傷を負わされてしまう。
 解放された新田の懐に挟まれていた挑戦状の指定通り、大門は翌朝父の墓のある奥山墓地に向かった。その前に立ちはだかったのは、なんとΣ団に操られたザボーガーだった。 強力な誘導装置の前に、大門の声もザボーガーには届かない。
 ザボーガーの手にかかるなら、とついに大門も死を覚悟する。しかし勝ち誇る悪之宮博士に見せられた大門博士の死の場面の映像に、大門の胸に甦った怒りの電流がザボーガーの誘導装置を破壊した。
再び大門の元に帰ったザボーガーにサタンボーグは撃破され、大門の怒りの飛竜三段蹴りがアパッチドリルを葬った。
個人的な感想
「電人ザボーガー」Σ団編には「父と子」というテーマが色濃く表れている。中でもまず第1話から展開されていた「大門親子と新田警部」の一区切りとしてふさわしい展開を見せた、この第4話である。
 車に乗せられた偽大門博士を見るや「父さん!」と一目散に追っかけていき、新田さんに言われるまでΣ団の罠とも全く気づかなかったらしい大門さんには、見ていて「いや少しくらい目を疑うとか、逡巡したっていいんじゃ…」と 正直思わないでもないのだが、「そう言えば実際、大門さんは死に目には会えてなかった訳だし」とあえて考えてみた。
「理性では解っていても、感情では父親の死を未だ納得できていなかった」という解釈は好意的に過ぎるだろうか。
少々贔屓も引き倒し気味だが、そう思うとそんな己の迷いを突かれておびき出された上、父親の顔をした「サイボーグ(作中より。しかしこれはロボットなのでは?)」に何の疑いもなく近寄ろうとする大門さんが不憫でならない。
しかもそれが原因で大門さんは父親の遺した「弟」ザボーガーを奪われ、今や父親代わりの新田さんには重傷を負わせてしまうのだ。このシチュエーションには、もはや悪之宮博士のセンスに感服するばかりである。 悪役かくあるべし。
 そして「よくも新田さんを」と憤る大門さんに「誰の為に死に目をくぐり抜けてきたと思う…チャンスはきっと来る」と諌めてくれる新田さんが拝みたくなる程有難い。 貴方こそはこの物語の「父」だ…。
ときにこの回は珍しく大門さんが拳銃を使っているのだが(ラスト近く、サタンボーグと戦うザボーガーを援護射撃している)もしかしてこれは新田さんの拳銃なのでは、と見ていてふと考えた。 大門さんを密かに狙っていた偽大門博士のナイフを新田さんが撃ち落とすくだりが前半にあるので、これに応える形で「自らの手で」今度こそ決着をつけた、という演出ではなかろうか、とも思えるのだ。 悪之宮博士にあの映像を見せられた事で大門さんも本当に「喪の儀式」を済ませる事ができたのかもしれない…とまで書いたら穿ち過ぎか。
 ともあれここに主人公・大門さん自身の「父と子」の物語は一旦決着を見る。

 ところでまたも些末事ながら、この回の内容がサブタイトルとどうも合っていないような気がする。
新田さんは結局拉致されたΣ団の基地の場所を大門さんには教えてくれなかったし。 墓地はどう見ても殺人基地ではないし。ちなみに冒頭のサブタイトルコールは「Σ殺人基地殴り込め」と聞こえる。どうでもいい事だが。
 そしてこの回、考えてみれば、大門さんをとことん絶望させようとするあまり悪之宮博士が「大門博士殺害映像」さえ見せなければΣ団の計画は完璧だったのだ。 誘導装置を破壊されて「リモコンが効かない!」とうろたえるアパッチドリルに「馬鹿者」と悪之宮博士の立体映像が一喝するのだが、どう考えてもその台詞はそっくりそのまま悪之宮博士に返したい。



  

  
5 Ω地獄計画開始!
       
ストーリー概略
Σ団は世界一の金庫破りの腕をもつ囚人を刑務所から脱走させ、Ωサイボーグ第1号・ボルゲンに改造した。
日本を破壊するジャンボメカアニマルの製造大計画の第一段階として、悪之宮博士は佐川心臓科学研究所で開発されていた人工心臓とその製法ノートをボルゲンに奪わせる。
しかし人工心臓は「一回しか使用できない」為、悪用するにはその量産が鍵となる。 それを懸念した製作者・佐川博士によって、製法ノートには悪用されないよう、うっかり開けようとすると爆発する仕掛けが施されていた。
 人工心臓の行方を追ってΣ団の基地に潜入した大門を待ちうけていたのは、コンクリートガスの噴き出す罠だった。 瞬時に凝固していくコンクリートガスの中ではザボーガーも呼べず、ついにコンクリート塊の中に封じ込められてしまう大門。
固めたコンクリートごと大門を爆殺しようとするΣ団の前に、しかし動けない筈のザボーガーが現れた。潜入直前、大門は自分の声を録音して万が一の場合にもザボーガーが作動できるようにしておいたのだ!
 ザボーガーの力を得て一旦は人工心臓とノートを取り返した大門だったが、激闘の中で人工心臓は破壊されてしまう。 尚も製法ノートを奪おうと迫るミスボーグの銃口に、大門はノートを爆破して人工心臓の秘密を守った。
 アジトに戻り、悪之宮博士に作戦の失敗を詫びるミスボーグ。しかし悪之宮博士はノートの秘密を見抜き、ノートを開けずにレントゲンで透視する事で既に人工心臓の製法を我がものとしていたのだった。
個人的な感想
 全編にわたって大門さんのアクション全開である。長いカットもあって見ごたえも十分、なのだが。
但し冷静になって眺めてみると、これだけ活躍した割に大門さんの行動はこの回どうもあまり役に立っていないのだ。
 大門さんが外でΣ団戦闘員と張り切って戦っている間に、ミスボーグとボルゲンは何の邪魔もされずに佐川博士を襲っている。正直護衛の意味がない。 まあこれは警報装置や電話線を切断しておいたΣ団の作戦勝ちともいえようし、その後大門さんはΣ団の秘密基地を突き止め、人工心臓とノートを奪還している。 ここまでは良しとしたい。
 しかし人工心臓を手に持ったままでΣ団と延々戦ったりするから、あっという間に壊されてしまうのである。更にノートを爆破したのも仕方ない事かもしれないが、「悪の手に渡さずに済んで良かった」と思いきり誇らしげなのは如何なものか。
 前言を翻すようで恐縮ながら、第4話から続けて見てくると、もしかすると大門さんは「今、目の前にある問題」しか考えられないのでは…という気がしてくる。 その割には予め自分の声を録音しておいてスペシャルカーで再生し、ザボーガーを呼び寄せられるようにしていたりする辺り、妙なところで用意周到だったりするのだが。
そして完全に固まっていたコンクリートをザボーガーに割ってもらった途端「俺は自分で息を止めている事ができる!」と平然と立ち上がってきた大門さんに、 初めて見た時にはかなり意表を突かれた事も記しておく。ガスの噴出量とコンクリート塊の大きさを考えあわせるとこれは随分長い時間が経っているのでは、と思われ、 「やっぱり大門さんは生身の人間ではないんでは…」という疑念がまたもや生じてきたりするのである。
 ところで「悪の手に渡すくらいならいっそ破壊した方がまし」という佐川博士の主張は解らなくはないが、それにしてもノートに仕掛けていた爆薬はちょっと多すぎないか。 「爆発する」とは確かに聞いていたが、せいぜいノートが炎上する程度を想定していたのだ。 まさかΣ団の秘密基地を吹き飛ばす程の破壊力が、あんなノートに秘められていようとは。
ノートといいつつ中身は2、3枚で、残りは全部爆薬だったとしか思えない。 一見まともそうだったのだが、どうやら佐川博士も大門博士や悪之宮博士と同じくこの世界における「科学者(と書いてマッドサイエンティストと読む)」だったらしい。



  

  
6 鉄骨ビルが消えた!
       
ストーリー概略
Σ団はジャンボメカアニマル製造の第2プランとして、大量の鉄材を収集していた。
 建築中のビルから鉄骨が一夜にして消え失せる謎の事件。美代の友人・村井ひろ子の父親もその被害者であり、 長年の夢だったホテルの再建資金の目処がつかないまま自殺した、と聞き、大門は怒りに燃える。
 出動指令を待ち構える大門に、眼鏡に仕込まれた秘密通信機からようやくΣ団の出現の報が入った。 急ぎ現場の偵察に向かった大門の目の前に現れたのは、鉄を溶かす能力をもつメカアニマル・テッカーマだった。 Σ団は鉄骨の根元を溶かした上で、上空からビルの骨組み全体を消音ヘリコプターで吊り上げて盗み出していたのだ。
 現場に乗り込んだ大門はビルの奪取は阻止するものの、戦いの中で眼鏡をミスボーグに奪われてしまい、またその単独行動を新田に叱責される。
 眼鏡の秘密を知ったミスボーグは偽情報や別動隊で警察を翻弄し、同時に眼鏡の発する電波を利用して大門を誘き寄せる。
 一度は危機に陥るも、大門はミスボーグから眼鏡を取り戻す。強力メガトロン爆弾を体内にもつテッカーマはザボーガーに抱きついて相討ちを図るが、振り解かれてあえない自爆を遂げる。 かくしてΣ団のΩ第2プランは失敗に終わった。
個人的な感想
大門さんにハンディモップをかけられていたり、大門さんをテッカーマから助けて抱き起こしてくれるザボーガーが凄く可愛い。 テッカーマといえば、どうも有名な某28号に似ていると思うのは私だけだろうか。特に実写版なんて兄弟と呼んでもいいくらい似ているような気がするのだが。 それにしても命令のままに安全装置を自ら外してザボーガーにしがみつくテッカーマはちょっと不憫だ。 命令するミスボーグにも命令されるテッカーマにも何ひとつためらいがないだけに。
 さてそしてΣ団と警察の戦闘といえば銃撃戦が多いのだが、この回では警察を木材置き場におびきだしたΣ団の戦闘員達が肉弾戦に出てきた為、新田さんの背負い投げが見られたのもこの話のチェックポイントとして数えておくべきであろう。 かっこいいなあ新田さん。
 ラストシーンで夕暮の海を見つめ、今は亡き父の思い出を語るひろ子の横顔を黙って見ている美代ちゃんの背中が優しい。 そして彼女達が去った後で新田さんが大門さんの単独行動に触れて諭す「君はお父さんの仇をとる為にだけ戦ってきた。警察官のとる態度じゃない。…解るな」の言葉に、 このエピソードもまた「父と子」の物語のモチーフのひとつだった事に気づかされるのである。



  

  
7 危機一髪!! 燃える秘密刑事
       
ストーリー概略
空気に触れると強烈に発火するスーパーリンを精製できる唯一の研究所を、Σ団が襲撃した。
 Ω計画の為に資材を必要としているΣ団は必ずまた研究所を襲撃してくる筈だ、と警察は考える。 案の定リングイは再び研究所に潜入し、スーパーリンを盗み出す。が、リングイを回収する為に偽救急車を仕立てたΣ団の前に、警備員に変装していた大門が立ち塞がった。 大門に襲いかかるリングイ、しかしザボーガーがその急所を捕らえて攻撃する。そこに駆けつけたミスボーグはリングイの体内のスーパーリンを取り出して大門を牽制し、幼稚園バスをジャックして逃走した。
 バスを追った大門を待ち構えていた悪之宮博士は、子供の命と引き換えに降伏を要求する。 やむなくその要求をのんだ大門は、無抵抗のままリングイの投げるスーパーリンの炎に自ら身を晒した。
 大火傷を負って病院に運ばれた大門は電極回路への電気ショックによって意識を回復し、人質の救出を新田警部に訴える。
 担架にのせた大門をΣ団の待つ廃工場へ運ぶ新田と中野刑事。全身を包帯に巻かれて横たわる大門に、ミスボーグは容赦なく止めをさす。 これで子供達を解放してくれ、と訴える新田を嘲笑い、銃口を新田に向けるミスボーグ。もとよりΣ団に約束を守るつもりなどなかったのだ。
 しかしそこに、奇跡の回復を遂げた大門が現れた。 新田達が運んできたのは人形であり、Σ団に大門を倒したと思わせておいて人質を救出する作戦だったのである。 ザボーガーがリングイを撃破し、幼稚園バスの子供も無事助け出された。
 予定の半分しかスーパーリンを略奪できなかった悪之宮博士は、改めて大門の抹殺を心に期すのだった。
個人的な感想
ヒーロー番組に於ける悪役のたしなみともいえる「幼稚園バスジャック」なのだが、正直「ここまでやるか…」と突っ伏したくなる程ねちこい話である。 とにかく展開があまりに突き詰められていて、結構見ていてキツい処もある。
 しかしそんな一方で「ヒーローである事」の意味や覚悟を逆手にとって追い詰めてくる悪之宮博士には 「相手が『正義の味方』の御旗を掲げていて自分は『悪の権化』という自覚があるんだったら、確かにここまでやらなくては手緩いな」と思わず感心したりして。しつこいようだが、悪役かくあるべし。
 あえてこの回で明るい見所を探すなら、警備員に変装する大門さんとか、スーパーリンを空気から遮断する為に大量の水を必要とするリングイ(ところで「スーパーリンを食う」から「リングイ」か?)にこまめに水を飲ませてやっているミスボーグ辺か。 リングイと言えば体内が水で一杯なのか「歩くと足跡が濡れている」というくだりが冒頭に出てくるのだが、「それって水漏れしてるんでは…」とつい思う。 見れば表皮も何だか柔らかそうだし、ホースも身体の外側に露出しているし、確かにメカアニマルには違いないがこれをザボーガーと戦わせるのもちょっと酷だったのでは、とも思ったりする。
 そしてそろそろツッコむのも野暮という気がしてくるのだが、病院にいた時には顔まで包帯ぐるぐる巻きだったし「現代の医学では…できる限りの手は尽くしたんですが」だの「お父さん、これが大門さんなの?」だのとさんざん深刻な場面を展開してくれたにもかかわらず (どうみてもΣ団を欺く芝居でもなさそうなのだが…)丸一日経たない内に何ごともなかったように高笑いしつつ現れた大門さんには「やっぱり貴方は普通の人間では(以下略)」と聞きたくなる。
「俺があれ位で死ぬと思っていたのか!」と一喝していたが、それどころかどこにも包帯すら巻いていなかったところを見ると、火傷ももう治ったのか? 電極回路がばりばり働いて、回復のピッチまで上げてくれたのか?(段々怖い考えに)



  

  
8 標的はあのダイヤ!!
       
ストーリー概略
 展示の為に日本へ運ばれた世界最大のダイヤ。Σ団の幹部・海賊ジャックはΩ計画の為、このダイヤの奪取を目論む。
一方Σ団の狙いを察知した新田は、秘密裏に別の輸送計画を立てていた。 警察が警備する正規のルートで運ばれるダイヤのケースと大門の持つアタッシュケースを空港ですりかえるトリックを、海賊ジャックは見破って大門を追う。
しかし大門こそがΣ団の目を欺く為の囮であった。 海賊ジャック率いるΣ団を山中深くまで引き付けた大門は、激闘の末に奪われたと見せかけて、海賊ジャックに偽のダイヤを掴ませる事に成功する。
 本物のダイヤは秘密刑事・上田が札幌で受け取って東京へ密かに運ぶ、という手はずができていた。上田は大門の友人でもあり、前もって大門と打ち合わせしてあったのだ。
 翌日大門は約束の飛行場へ向かい、札幌からのセスナ機を迎える。
操縦席から笑顔で降り立つ上田。大門が駆け寄ろうとしたその時、しかし上田の額に深々と突き立てられたのは海賊ジャックのナイフだった。 悪之宮博士に叱責された海賊ジャックが、今度こそ本物のダイヤを奪おうと現れたのだ。
 友人の死を目の当たりにし、怒りに燃えて戦う大門だったが、メカアニマル・ゴーグスは倒したものの海賊ジャックを見失い、またダイヤもミスボーグによってセスナ機ごと持ち去られてしまった。 失敗の続いた海賊ジャックを粛正し、Σ団はΩ計画の達成へまた一歩前進する。
 大門は上田の思い出を胸に、打倒Σ団の誓いを新たにするのだった。
個人的な感想
 日頃大門さんを見ているので「『秘密刑事』とはとにかく超人的な人間なのだな」とつい思い込んでいたのだが、どうやら他の人は普通の人間らしかった。 上田氏の登場シーンは思いきり怪しかったが、それだけに「まさかあんな事で死んでしまうとは」と驚き、「…いやそれが普通だし」と今更のように思い直したりする訳である。
 この回は自宅でビールを酌み交わす新田さんと大門さんが見られて嬉しい。 大人二人の横から浩くんが漫画を読みながらおつまみをつまんでいたり、頃合を見計らってきっちり美代ちゃんが酒席を切り上げさせたりと、微笑ましい場面に仕上がっている。 だもので見ているこちらもつい一緒になって気持ち良くビールを開けたりするのだが、ラストで鍛練に励む大門さんの 上半身に思わず手が止まって注ぎこぼしそうになったのは秘密…いえ何でもありません。もう健全派を標榜できるとは思ってないので勘弁して下さい。 筋肉のつき具合とかチェックしてました。すみません。
 …話を戻して、今回も大門さんはアクション全開である。「何もそこまで全身全霊込めなくても…」だったり、勢いあまって明らかに重力法則を無視して水面から飛び上がったりしているが、まあそれはそれこれはこれ。 黒の手甲もかっこいいぞ。 そしてΣ団を誘き寄せる為に、自分と同じ位の大きさの偽ダイヤをぶらさげて飛んだミニヘリコプターが大変いたいけで可愛かったのだ。 ミニヘリコプターはザボーガーの小型メカの中では多分使用頻度が一番高いのだが、また今回はスペシャルカーもゴーグスを翻弄したりと「ちっちゃいものクラブinザボーガー」が大活躍である。
 握手の型で「死の儀式」を示し、黒バラが「死者への贈り物」を表す辺が、Σ団の秘密結社らしいスタイルを感じさせる。
 見えない何かに追いたてられるように息を切らして明るい砂浜を独りまろび走る海賊ジャックが、砂上に立てられた黒バラを目にして茫然と立ちすくみ瞑目する。 次の瞬間、容赦なく撃ちこまれる無数の銃弾にのたうつ海賊ジャックの身体。やがて元の静けさを取り戻した海岸にただ淡々と聞こえてくる波音が、Σ団の非情さを語るかのようでもある。 後々また書く機会もあると思うが、この作品には思いも寄らないところではっとさせられる映像が本当に多いのだ。